2024年が始まって、能登半島地震が起き今も大変な思いをして過ごされている方がいるという厳しい年明けとなってしまいました。改めて日本は災害の多い国だと日本国中が痛感したと思います。
しかし、ASEAN全体で言えばようやくコロナが終わり、いつも通りの新年が始まったという認識だと思います。そこで今回は2024年のASEAN不動産マーケット予測という形で簡単に各国ごとに書いていきたいと思います。
■マレーシア
コロナ前から比べると不動産マーケットは少し微増しているという状況です。2024年に入って、クアラルンプールにて世界で2番目に高い「ムルデカ118」が竣工式を迎えました。2014年に着工してから10年。ようやくここまでこぎつけた、というのが正直な感想です。これがマレーシアの新しいランドマークになるのか、そしてこれを機にマレーシアに投資が集まるのか?なかなか難しいですが、正直申し上げると投資というよりも移住やセカンドハウスとして、というニーズが出てくるだろうと思われます。MM2Hもより富裕層向けになってきていますから、「ゆるやかな停滞」という感じは変わらないと思っています。
■タイ
2024年になってコロナから復活してきましたが、この国もマレーシア同様、投資というより資産分散、移住、ビジネスなら、という感じです。一方で地下鉄、BTSの路線が10以上できてきているので、本当に東京のような成長の仕方をしています。駅近、駅ナカという感覚がこれから出てきて、中間層も増えてきていますから、ビジネスとしては非常に面白い国になるかもしれません。昨年からサンシリという不動産デベロッパーの元社長が首相になりましたから、年末から年明けにかけて海外に出ていき投資を集めています。
ですので、不動産価格は高止まりでいくだろうという予測はできます。ただし、投げ売り物件も出てくる可能性もあるので、そういう物件を拾っていくのも一つかもしれません。
日本人にとって馴染みが深い国なので、ようやく不動産も上下幅が少なく安定したマーケットになりつつあるのかなという印象があります。
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■フィリピン
コロナの影響が大きかった国ですが、今年になってからようやく回復傾向が出てきました。ただ都心部は新規物件が少なくて郊外開発がメインになってきています。これは10年くらい前のタイと似ています。しかし、タイでも同じですが、郊外に関してはきちんと物件を見ないと怖いです。フィリピン自体は面白い国ですし地下鉄工事も動いています。
先日マカティ市においては不動産税の減税を検討しているというニュースも流れました。少しでも不動産マーケットの活性化を目指しているのだと思います。
より良い物件を買える都心部の不動産は少ないかもしれませんが、着実にここから経済成長していきそうな気がします。ぜひ期待したいですね。
■ベトナム
昨年から大手デベロッパー幹部が捕まったり、上がりすぎた不動産マーケットが停滞したり、となかなか大変な1年だったのがベトナム不動産の2023年だったと思われます。そして、投資家からしても新規物件も多くなく、買いたくても買えないという状況が続いています。これにあわせるかのように1月19日付に「ベトナム国会常務委員会がこのほど、投機による不動産価格の高騰を抑制するため、複数の不動産を所有する個人への課税強化を検討するよう政府に要請した」というニュースが流れました。具体的には、複数の不動産を保有している個人に対して、一定期間内に複数回の取引をした場合にその回数に応じて税率を累進させる案(2回目は7%、3回目は10%)や、所有期間が短いほど高い税率を課す案(購入後1年以内の売却が16%、2年以内が12%、3年以内が8%)が挙がっているそうで、まだ確定ではありませんが、こういう政策リスクが出てくるのがベトナムらしいなと思う次第です。
こういうニュースが出るということは、投げ売り物件とか出てくる可能性もあるので、ここで強気に動くのもアリかもしれません。ただし、急なルール変更ということは十分にあるので、そこは気をつけていただきたいです。
■カンボジア
不動産マーケットでいうと昨年から止まっているというのが正直なところでしょう。しかし、フン・マネット新首相に代わり急速に色々なものが整備されつつあります。不動産においてもなんらかの手を打ってくると想定されます。ただ、計画上ではまだまだ新規物件が建設される計画になっています。この辺りのバランスをどうとっていくのか?投資家がきちんと収益を上げられる物件がどこまであるのか?その見極めが重要な1年になりそうです。
ただ、新しい内閣には期待したいと思います。20年くらい前のタイ、10年くらい前のフィリピンのような空気感はあります。ですので、いかに良い物件を買うか、そしていかに良い現地のパートナーと手を組むか?その辺り2024年はよりくっきりと明確に出てくる気がします。
ざっと2024年のASEAN諸国の不動産マーケットについて書いてきましたが、各国のデベロッパーや不動産会社の意見としては「展望は明るい」というヒアリングデータがCBREから出ています。どこまで本当か不明ですが、少なくともコロナの時よりは良いだろうということは確かだと思いますので、2024年どうなるか、ぜひASEANに期待していきたいです。